過去20年間の主な学習塾・予備校など教育業界の買収(M&A)の一覧とまとめです。塾別にどこの塾を買収してきたのかが、一目で分かるように一覧にまとめました。
少子化が進んでいること、上場して資金が豊富にある塾運営会社が増えたこと、塾の創業者の高齢化が進んでいることなどが教育業界・塾業界で買収(M&A)が増えている要因です。「子供が通っていた塾が大手に買収されて、テキストも指導スタイルも一変した」というようなことが塾業界では頻繁に起こっています。
学習塾業界は分裂と買収を繰り返している業界です。
一例をあげますと・・・
難関校受験に強かったTAP進学教室の運営メンバーが分裂・独立してSAPIX小学部・SAPIX中学部を設立。その後、TAPは栄光ゼミナールに買収され、栄光ゼミナールはZ会に買収されました。
SAPIX小学部・SAPIX中学部は全くの別会社・別運営でしたが、いずれも代々木ゼミナール(高宮学園)に買収されています。SAPIX小学部の幹部の一部が独立してGnoble(グノーブル)を作りました。
TAP進学教室・SAPIX小学部・Gnoble小学部が「分厚いテキストを用意せずプリントを大量に配る」というスタイルで共通しているのは、運営メンバー・幹部メンバーがTAP→SAPIX→Gnobleと移動していったからです。
以下に塾・教育業界の会社別に、買収した塾などを時系列で掲載しています。
学研
2006年 あすなろ学院
2007年 タートル先生(家庭教師派遣)
2007年 ホットライン
2007年 照和学館
2008年 サイシン
2009年 早稲田スクール
2009年 創造学園
2013年 イング
2013年 全教研
2015年 文理(塾向け教材の出版社)
2016年 サインワン
2016年 高等進学塾
2017年 市進を持分法適用関連会社に
2017年 文理学院
市進
2011年 桐杏学園
ベネッセコーポレーション
1993年 ベルリッツ(英会話)
2005年 アビバ(パソコン教室)→のちに売却
2006年 お茶の水ゼミナール
2007年 東京個別指導学院
2007年 鉄緑会
2012年 進学館・開進館・研伸館(アップ)
2014年 ミネルヴァ(英会話)
Z会
2008年 ena大学受験部
2015年 栄光ゼミナール
2017年 アオイゼミ(オンライン学習塾)
2017年 増田塾
栄光ゼミナール→Z会の傘下に
2004年 TAP進学教室
2010年 シェーン(英会話)
代々木ゼミナール(高宮学園)
2009年 SAPIX中等部・高等部
2010年 SAPIX小学部
2016年 プリバート(SAPIXの個別指導)
ナガセ(東進ハイスクール)
2006年 四谷大塚
2008年 イトマンスイミングスクール
2014年 早稲田塾
2022年 木村塾(株式会社ヒューマレッジ)
2022年 ブリヂストンスポーツアリーナ(スイミングスクールなど)
リソー教育(トーマス)
2002年 伸芽会(幼児教室)
早稲田アカデミー
2007年 野田クルゼ
2018年 クオード
さなる(佐鳴予備校)
2007年 九大進学ゼミ
2009年 啓明舎
2011年 名進研
2017年 三島進学ゼミナール
2019年 中萬学院
2022年 城北スクール
2022年 スクール21
中央出版・KTCグループ
※ナビ個別指導学院を運営するCKCはグループ会社
2013年 明倫ゼミナール
2014年 学参(家庭教師派遣)
2020年 昴塾
2021年 英進
ウィザス(第一ゼミナール)
2017年 京大ゼミナール久保塾
2022年 個別指導まなび(株式会社Blue Sky FC)
スプリックス(森塾)
2020年 湘南ゼミナール
英進館
2020年 田中学習会(ビーシー・イングス)
2017年 医学部受験予備校メビオ
馬渕教室
2012年 稲田塾
2022年 若松塾
学究社(ena)
2007年 進学舎
ジー・エデュケーション(ITTO個別指導学院・がんばる学園)
※現在の社名はNOVAホールディングス
2007年 NOVA(英会話)
2010年 ジオス(英会話)
以上、「教育業界・学習塾業界の主なM&A・買収の一覧とまとめ」でした。
地域・エリアの大手塾の顔ぶれが数年単位で変わっていくような企業買収が繰り返されています。
中学受験の三大塾である四谷大塚・日能研・SAPIX小学部のうち、四谷大塚はナガセ(東進)の傘下に、SAPIXは代ゼミの傘下に入り、独立を維持しているのは日能研のみになりました。
神奈川県では、ステップ・臨海セミナー・湘南ゼミナール・中萬学院が高校受験の「神奈川四大塾」でしたが、中萬学院が佐鳴の傘下に、湘南ゼミナールがスプリックス(森塾)の傘下に入り、独立を保っているのはステップと臨海セミナーだけになりました。
福岡県では「英進館・全教研が2強で九大進学ゼミなどが追いかける」というような構図でしたが、英進館が圧倒的なシェアをとるようになり、九大進学ゼミが佐鳴に、全教研が学研に買収されました。
九州で断トツとなった英進館は広島県の田中学習会を買収し、鴎州塾と広島県でシェア争いを繰り広げています。